Onward ♪ by YES
2005年 05月 14日
これが好きだという人は滅多にいない、YES 「TORMATO」である。「トマト」ではなく「トーマト」と発音する。もちろんキザったらしく「トメイトー」などと言ってはいけない(笑)。意味は25年後の今も不明である。ジャケットにつぶれたトマトが写っているからトマトに関係あるのは確かだろう。
アメリカのヒットチャートを横目で睨んで、お手軽な短い曲ばかりで構成されていて、日本のいわゆるプログレファンからはそっぽをむかれた。パンクやAORの台頭で「重厚長大」な曲が敬遠される世相だったには違いないが、「YESよ、おまえもか?」とおおいに落胆したことを覚えている。それでもアメリカ市場ではもっとも売れたYESのアルバムになった。やはり敏腕プロデューサーの時代を読む能力は伊達ではない。
今にして思えば相当保守的なROCK少年だった。ハードロックならギター・ベース・ドラム・キーボード・ヴォーカルしか認めない。ブラスが入っているようなもの(シカゴとか)は頭から軟弱だと拒否反応を示していた。プログレなら片面1曲の壮大、ドラマティック、スペースオペラ風の長い曲が必須だった。YES「危機」、EL&P「タルカス」、PINKFLOYD「おせっかい」が愛聴盤だったのである。
時は流れ、私の中の音楽に対するスタンスも微妙に変化したようだ。JAZZやクラシックを聴くようになったことも無関係ではないだろう。今この「TORMATO」を聴いても体が拒否反応を示すことはない。簡単なことだ。別にこれをYESだと思わなければいいのである。スーパー・トランプやスティーリー・ダンのような極上都会的アダルトミュージック(?)だと思って聴けば結構気持ちよく聴ける。
フォークギター、ハーモニカ、歌をひとりで演奏して製作されたプリミティブな作品である。音は良くない。特に肝心のディランのヴォーカルが奥まって録音されていて聴きづらいこと夥しい。
by BigBlock-power
| 2005-05-14 23:39
| 音楽